
鉄といってもさまざまな種類があります。
小さなファスナーやボタン、ベルトやハンガーをはじめ、食事のときにはフォークやスプーンを使います。
車のボディや住宅やビルの鉄骨、橋やその他の大型建造物までさまざまなものに使われています。
生活に深く関わっている素材ですが、その製法や種類についてはあまり深く知られていません。
当社の仕事について知っていただくためにも、まずは鉄ができるまでの流れをここで簡単にご説明します。
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- 銑鉄を作るための主原料は、鉄鉱石、石炭、石灰石などです。
石灰石は日本国内で調達できますが、
鉄鉱石や石炭は輸入に依存しており、
鉄鉱石は主にオーストラリア、ブラジル、インドから輸入、
石炭は主にオーストラリア、中国、カナダから輸入しています。
これら原料の大半は粉状のため
そのまま高炉(溶鉱炉)に投入できません。
そのため、石炭はコークス炉で蒸し焼きにして「コークス」
にし、鉄鉱石と石灰石は焼結設備で焼き固めて
「焼結鉱」にするといった事前処理を行います。
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- 鉄鉱石(焼結鉱)やコークスなどから高炉を用いて
銑鉄をつくる工程を製銑工程といいます。
鉄鉱石などの原料をベルトコンベアで
高炉上部の投入口に運び、投入します。
投入された原料は高炉下部から吹きこまれる
熱風や酸素の影響で化学反応を起こし、
「銑鉄(溶銑)」と「高炉スラグ」に分離されます。
このとき発生する「高炉ガス」は
高炉の熱源として再利用されます。
銑鉄(溶銑)は高炉からトーピードカーに移され、
溶銑予備処理を行います。
これはトーピードカーに乗せたままの状態で
イオウやリン、ケイ素といった不純物を取り除く作業です。
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- 銑鉄を精錬して粘りのある強靭な鋼(溶鋼)をつくる工程を
製鋼工程といいます。
銑鉄は炭素を多く(4~5%)含んでいるため
硬くてもろいので、転炉で銑鉄を鋼に変身させます。
鉄スクラップが少量装入された転炉に溶銑を入れ、
酸素を吹き込み炭素を取り除くと同時に
溶銑予備処理で取り除けなかったイオウやリン、
ケイ素などの不純物を取り除きます。
また、このときに鋼の用途に合わせて
ニッケルなどの合金を加え仕上げます。
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- 溶鋼から鋼片(スラブ・ブルーム・ビレット)という
半製品にする工程を鋳造工程といいます。
溶鋼から板やパイプなどは直接つくることができないので、
まずは鋼片と呼ばれる半製品を連続鋳造設備などを用いて
作ります。連続鋳造設備とは、溶鋼を二つある取鍋に入れ、
取鍋の底部からタンディッシュを介して、モールドで冷却され、
ロールで形を整えて目的の鋼片を作ります。鋼片は連続した
形状なので、規定の長さのところでガス切断されます。
その他に造塊という方法があり、これはインゴットケース
(鋳型)に溶鋼を注ぎ自然に固める方法です。
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- スラブなどの鋼片を巨大なローラーの中を通して、
目的や用途に合わせた厚みや形にして鉄鋼製品をつくる工程を
圧延工程といいます。同じ圧延でも、厚板や薄板などの鋼板を
つくる場合や、H形鋼・棒鋼・鋼管など鉄鋼製品によって
様々な圧延方法があります。自動車や家電製品などに利用される
鋼板をつくる圧延工程には、熱間圧延(ホットストリップミル)
と冷間圧延(コールドストリップミル)があります。
熱間圧延は1000℃に熱したスラブを連続して圧延し、
1〜30mm程度の鋼板(熱延鋼板)を作ります。
この鋼板はコイル状に巻き取られ、冷間圧延の工程に移ります。
冷間圧延でさらに薄く(0.15mmのものもある)圧延され、
熱処理や表面処理を施し、コイル状に巻き取られ出荷されます。